敬愛するアーティスト、小林賢太郎氏の脚本・出演を手がける『ロールシャッハ』を下北沢の本多劇場にて観てきました。
「ロールシャッハ」とは「ロールシャッハテスト」という心理学の性格分析のテストのことらしく、上の図形のような、インクを垂らして描いたような図形を見てどのように見えるか、ということで判断することができるらしいのです。
なんでこのタイトルなのか?とか、そういうことに言及するとネタバレになってしまいますから、それは触らないでおきますが、とにかくとにかく、「良いものを観たなぁ」という感想です。
小林賢太郎氏と言えば、張りまくった「伏線」やストンと落ちる「騙し」の部分の印象がとても強いですが、勿論彼の脚本なのでそういった部分はたくさんありました。でも何よりも私がよかったと思うのは、久ヶ沢さんはじめとする他の3名の役者の方たちが、うまく彼らの味を出しながら、同時に小林賢太郎色も出していたという部分をひしひしと感じたところです。久ヶ沢アニキ、好きです。
あとは、小林賢太郎氏らしい、ちりばめた笑い。ドッカーンという爆発的な笑いを引き起こすよりも、細かな笑いをちょいちょい挟んで行く、そして時にはそれを応酬する。ファンであることを差し引いても、あぁいったコメディ感というのは、やはりお笑い芸人として活動していた人にしか書けない部分なんじゃないかなぁと予想してしまいます。いやはや、すごい。
そして、何よりも大事なのがライブ感。
他のKKP(小林賢太郎演劇作品)はDVDでしか視聴したことがなく、生で観たのはこれがはじめてでした。当たり前ではありますが、俳優の皆さんの声は、地声です。マイクで拡声されることなんてありません。この本当の声を聞くために、観客全体が静まって舞台を観て、笑って、拍手して。その笑いがおさまるのを舞台上の役者は待って、間をとって演技し続ける。こういう、暗黙での舞台上と観客とのコミュニケーション、そして観客同士の一体感が僕は大好きで、これこそライブの醍醐味なんだって思います。YouTubeやDVDだけでは、見たとは言えない、そう思うのです。
小林賢太郎氏本人もこう言っています。
舞台は "ナマモノ" です。 出演者のがんばりはもちろんですが、 客席のみなさまのご協力があって、ひとつの舞台ができあがります。 一期一会のライブ空間、存分にお楽しみください!
まさにその通りなのではないでしょうか。彼のこのメッセージは舞台上のアーティストとしてのメッセージなのかもしれませんが、彼自身色々なところに足を運んで生で色々なものを観ているといいます。ライブを愛する人の作品は、やっぱりライブで観なければと思うのです。
実は今回の作品は幸運にも2回観ることができるので、次回の横浜公演が楽しみで仕方ありません。KAATホールという素敵な会場で、演技にも余裕が出てきたときにどう作品が料理されているのか?というところが気になります。そして何よりも、これはストーリーの性質上、2回観るのにふさわしい作品です。ラッキー。待ってろよ、横浜!
おおお。
返信削除私も本多劇場で昨日観ました。
そしてKAAT横浜でも見ます。
もしかしたら同じ日かな?
会えたら、いろいろ感想を語りましょう。