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2013年1月3日木曜日

朽ちるインフラに何を思う

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三が日の帰省ラッシュなどで交通量も多い中、人身被害がなくてもこのような事態が起きたのは、少し無視できないことなのではないかと思います。

大阪 国道トンネルの側壁剥がれ落ちる
(NHKニュース:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130103/k10014568501000.html

3日、大阪と和歌山を結ぶ国道のトンネル内でコンクリート製の側壁がおよそ1メートルにわたって剥がれ落ちました。
付近を通行していた車に被害はなくけが人はいませんでしたが、トンネルを管理する和歌山県が原因を調べています。
3日正午すぎ、大阪・河内長野市天見にある国道371号線の紀見トンネルで「ゴロゴロという音がして、何かが落ちてきた。とっさに避けた」と車で通行していた人から警察に通報がありました。
警察の調べによりますと、およそ1.5キロのトンネルの大阪側の入り口から300メートルほどのところでコンクリート製の側壁がおよそ1メートルにわたって剥がれ落ち、車道などに散乱したということです。
付近を通行していた車に被害はなく、けが人はいませんでした。
このトンネルは和歌山県橋本市との境にあり、去年12月、天井の板が崩れ落ちる事故が起きた山梨県の中央自動車道の笹子トンネルと天井の構造が似ていることから、トンネルを管理する和歌山県が天井部分の緊急点検を行っていました。
和歌山県によりますと、この点検で異常は見つからず、その際、側壁の点検は行っていなかったということで、和歌山県は現場付近の通行を一部規制するとともに原因を調べています。
昨年末に起きた、中央自動車道の笹子トンネルの天井板の落下により9名の方が亡くなったことは記憶に新しいかと思います。
大学で学んでいる分野の関係で、こういったインフラの老朽化は大変な問題ではあるのですが、過去にもこういった事故は起きているようです。しかしながら、人身事故になっていないとなかなか報道されないとのこと。

以前読んだ本、『朽ちるインフラ』(根本祐二著)では、日本のインフラの劣化崩壊のシナリオが記されているのですが、その内容は2020年から顕著になる、とのことでした。しかしながら、笹子トンネルや今回の事故を見ると、このまま放置し続ければ2020年よりも圧倒的に早く、インフラ崩壊のシナリオ通りになってしまうのではないでしょうか。


日本よりも30年ほどインフラ大量投資の時期が早かったアメリカでは橋梁やトンネルの劣化による事故が起きていて、天井板落下の事故もボストンで2006年に起きています。(Wikipedia:ボストン高速道路天井板落下事故)ちなみに、この事故の原因もアンカーボルトの劣化であり、こういったことが起きているのに今回の笹子トンネルの事故が起きたことは本当に残念です。


ボストンの事故といい、笹子トンネルの事故といい、今回の大阪の事故といい、いずれも落ちているのは「天井板」や「側壁の表面」といった、トンネルの構造そのものには大きな影響を与えない、付属物であるというところがポイントだと思います。

というのも、トンネル崩壊であったり橋梁が落ちるであったり、そう言うある意味で"致命的"な問題は、さすがに現在の点検制度の下では、事前に察知されるものだと思います。しかしながら、天井板や側壁の表面のコンクリートといった付属物は、それが落ちてもトンネルそのものが崩壊するわけでもないですから、点検(主に目視)の目をかいくぐってしまう可能性があるわけです。点検の頻度というよりはどれだけ細かく点検するかといったことが問題になって、相当な経験が必要になってくるんだと思います。ゆえに、限界がある。

なんとなく、今後はこういった付属物の落下による人身事故が増加する気がします。コンクリートの落下や照明の落下、など。思った以上に、危険はすぐそこにあるかもしれないのだ。

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