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2013年5月23日木曜日

小林賢太郎『P+』を見てきた

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小林賢太郎『P+』を見てきました。東京天王洲の銀河劇場にて。
前作の『P』は、神奈川KAATホールのスタジオ公演と、パリ&モナコの海外公演でした。
そのため、かなり限られた人しか見られなかったわけですが、幸運にも僕は両方見ることができました。
最近小林賢太郎作品は『ロールシャッハ』といい『P』といい『SPOT』といい、当たりまくってます。ただ、『うるう』は外れてしまったのですが…。

猛烈に今回のレビューはネタバレをしますので、ネタバレが嫌だという方はご遠慮ください。それと、読み返したら、エラそうでした、(苦笑)
ただ、ネタバレとは言いながら、舞台はナマモノですし、ここに公演内容をまんま書かれることは小林さんも本意とするところではないはずなので…。PとP+の違いに注目しながらそこまでおっぴろげにしない程度に基本的には僕の感想を書いていこうと思います。ちなみに『P』はNHKのドキュメンタリーで海外公演の一部が放映されていましたよ!

ポスターの一部。今回の作品、四角がテーマな気がします。


『P』と『P+』の大きな違いは、まずはステージ上の装飾です。『P』では、シンプルな白背景にいくつかの四角い枠とドアがあっただけでした。しかし今回の『P+』ではシンプルな背景ではなく、四角で構成された街の一角のような背景になっており、始まる前からストーリー性を持ったものにするのかな?という予想を立てることができました。
そして、『P+』は日本の人も楽しめるように、という目的も新たに盛り込んだ、ということで、「日本語でのせりふ」が追加されています。ただ、あくまでPの系統を踏んでいるので、セリフは基本的にかなり少ない仕様です。

【P+の内容】
(タイトルは僕が適当につけたもの)
オープニングは手男が現れ歩いている動画が流れ,そのスクリーンがどけられると小林賢太郎が現れるというパフォーマンス。

1.日本検定(NHK放映内容と同)
オープニングで過去のPotsunenの映像を見たあと、この『日本検定』が始まりました。字幕はフランス語でした。Potsunenでよくある、タングラムを用いたパフォーマンスです。

2.しーっ(NHK放送内容とほぼ同)
『P』からのマイナーチェンジがたくさんありました。謎の部屋に入るシーンがあるのです』が、『P』ではただ驚いた表情を見せるだけでした。しかし今作『P+』では謎の生物とのビンタ合戦をするなど、より謎めいた演出になっており、そしてしつこいものになっていました(笑)基本的にこのパフォーマンスはパントマイムによるものなのですが、今回は日本語が使える条件なので、とあるところで日本語を発しちゃいます笑 これはホント面白かったです。

3.漫画の奴
大きく内容がPから変更されていました。新しいステージの特徴を生かしたストーリーになっており、これは他の作品に比べて笑うシーンが多かったです。前の作品との伏線があるのは、いつもの小林さんらしい。

4.四角(タイトル適当)
『P』のときにはありませんでした。これは幕間というべきなのか…。幕間にはムービーを流すのですが比較的そのムービー内容との相関が強いもの。なんと、小林さんはPotsunenの服装でなく、私服っぽい感じです。あ、Pの横浜公演でのカーテンコールで話していた「レンガの積み方」が台詞に盛り込まれていました。台詞ありの作品。

5.んあえお
Pで見たときは結構スベってて、ご本人も「これウケますかね…フランス人に」っておっしゃってたんですが、見事に面白くなっていて、びっくりしました。ボレロのBGMがなくなってはいましたが、それもまたよかった。フランス人に意外とウケたそうです笑

6.LINE
7.Diver
LINEとDiverはPとほぼ同じで、NHKで放送されていたものと同じ。マイナーチェンジはありましたが…。けど、この作品の創作過程はNHKの番組を見ていて知っていたので、面白かった。けど、映像系作品を2連発でやられると、非常に眠い…。Diverの後半は本当に寝そうになってしまいました。音楽が心地いいし(笑)

-いったん終了の挨拶 -

7.受賞スピーチ
アメリカンジョークのようなことを言っていそうな謎の言語を話し、大笑いするおっさんなどの音声が流れる、というよくわからないコント。(ごめんなさい、下手な表現で…。)「なので、カットしました笑」と言いながらパリモナコで演じた部分の大部分を見せてくださいました。

8.手の奴 東海道(日本橋~三条大橋) 
イメージ図@日本橋
Handmimeの最新バージョン。パリ・モナコにいるときに「そうだ、京都行こう」と思ったらしく、東京と京都を結ぶ東海道をhandmime(手男)でやろう、ということで作られた作品。9分間のパフォーマンスで、背景として流れる東海道の駅の絵は、全て小林さんが描いたそうです。「全ての宿場駅が有名なものがあると思うなよ!!」の小林さんの言葉通り、何も絵がない駅がチラホラ笑 神奈川あたりでは「トツカクトツカク」という文字が現れるなど、かなりファンサービス旺盛。小林賢太郎TVを見ていないと笑えない仕様、ということで、今回僕と一緒に行った方(初小林賢太郎)はあまり笑えなかった模様。既存のhandmimeは手だけをトコトコと歩かせますが、本作では実際に小林さんも歩いてみたり、と新しい点もちらほら。今までのhandmimeとは全然違う、超大作になっていました(笑)しかし、やはり小林賢太郎を見るには、予習が必要ですねぇ。

【全体を通して】
全体を通して感じたことは「言葉の使えない今、どこまでできるか」に挑戦した、ある意味意欲作だったということです。その結果、芸術的な部分をかなり押しだした作品が多くなったということでしょう。LINE、Diver、東海道五十三次なんて全て小林さんが絵を描き、幕間の映像はマジックばかり。(マジシャンとしてはニヤリ。)『LINE』でもマジック的なことをしていたし、なんか今までよりもそういった要素が多かったです。
そして、幕間の映像を用いてストーリーを補完しています。個人的な予想ではありますが、Potsunenや○ -maru-は、エンディングありきの作品で、それに合わせてストーリーを構築していたような気がします。オチがある、ということです。しかし今回のオチは既存のストーリーなしの『P』に無理矢理ストーリーをつけたような印象を受けました。僕としてはストーリーなんて一切なしでSPOTくらい盛りだくさんにしてほしかった。まぁ、制限があるんだから仕方ないと言えば仕方ないのでしょう。あ、ちなみにDROPに出てくる毛虫が登場します笑

僕が見たときは、スタンディングオベーションはありませんでした。正直、それ相応だと思ってしまいました。やはり僕は言葉遊びやもっとあっと言わせる仕掛けを準備している小林賢太郎の方が好きなのかもしれません。ここらへんは好みでしょう。一緒に行った方は面白かったと満足していましたし。

総じて、勿論とても面白かったです。過去作品からの伏線?もありましたし。ですが、言語をそこそこ封印されるという制約があると、ここまで満足度が下がるのか、と思いました。面白かったけど、なんかものたりない、そんな感想です。時間も80分くらいでしたしね!ロールシャッハやSPOTの次がコレっていうのが、なんともな〜。

こんな批評をできる身分ではないのですが、いちファンとして思ったことを書いてみました。それにしても次の作品も楽しみです!

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