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2012年11月15日木曜日

東大のギャップイヤー制度の課題、そしてプリンストンに学ぶ

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By torisan3500

とにもかくにも、東大が攻めています。(ように少なくとも、そう見える!)

大学入学時期変更のいわゆる「秋入学」を視野に入れて、入学前の学生に公式にギャップイヤーを認める、「初年次長期自主活動プログラム(FLY Program)」を開始ということ。対象は30名程度ということですが、活動資金として約50万円ほどを支給ということでした。

これは、日本の他の大学がやっているところはありそうですが、東大がはじめる意義は大きいなと思っています。秋入学の際にも、日本中の大学に影響を与えたことからわかるように、東大がこのように、色々と制度を改革していくことは日本中の大学に影響があるんだとは思います。

さて。まず基本的なことですが、ギャップイヤーって、なんでしょう?
「ギャップイヤー」は高校卒業から大学入学の間に1年の休みをとって、、インターンやNPO、留学などをすること、あるいは、大学卒業から社会人の間であったり大学院にいく前であったり、を指すことです。

今回の東大のFLYプログラムの要点をとーってもカジュアルにまとめると、

  1. 高校卒業/浪人直後の学生が、大学生活の前に9ヶ月くらい学校を離れて色々経験するチャンスを与えて、お金は50万円くらい支援するよ!
  2. 何をやるかは学生が自分で計画を立てて、それを提出してくださいね!
  3. 社会性とか国際性、「世界的視野を持った市民的エリート」を目指す者のロールモデルとして、社会貢献するようなことやってね。
  4. 最初の1年は休学扱いだよー!だから授業料も免除です!でもあくまでも学生だから、図書館とかは使っていいよ。
  5. でも休学になっちゃうから、日本学生支援機構の奨学金をもらう人は、辞退してね。奨学金はもらっちゃだめ
ということでした。

うーむ、これ、学生に計画任せるんですね。てっきり、色々な選択肢を大学側が提供するものだと思っていました。

Twitterでも色々と流れてくる反応を目にしましたが、やっぱり多いのは

まだ大学入ってもいない学生に自分で計画しろってのは難しいだろうし、大学入ってから自分に必要なことが見えてくるだろうから、入学前の1年なんてよくない!

という論調のもの。
いやはや、大いに同意します。なんにせよ、じゃあ自分が高校卒業したときに、ましてや大学受験勉強をしながらこのプログラムで何をやるかなんて考える余裕はないですし、何をやればいいかなんて全くわかりません。相談できる教授がいる、とのことですがどこまで親身に面倒を見てくれるかわからないですし、やっぱりこの30人に対して専任にアドバイスをする人がいなくてはならないんだろうなぁとは思います。

ここがダメだ!と指摘するのであれば、やはりこの自主計画の部分でしょう。
東大自体は、以下のような計画内容を想定しているようです。
  • ボランティアなどの社会貢献活動(災害復興支援、学習支援、環境保全、医療・ 福祉・介護等)
  • 国際交流体験活動(語学留学、国際NPO活動への参加、長期海外渡航等)
  • インターンシップなどの就業体験活動(官公庁、自治体、企業、NPO等)
  • 農林水産業・自然体験、地域体験活動(地域おこし、農山村・漁村など出身 家庭・地域と異なる場での生活体験等)

いかに東大がこういった選択肢を広く受験者に提供していくかがカギだと思います。

いや、しかし今回、思い切りましたね、東大教養学部。秋入学にはとーっても慎重な学部であったにも関わらず、このようなプログラムをえいや!と決めてしまうとは。びっくりです。
僕自身、1年間休学をしてアメリカに留学をしていました。それは、自分の専門が決まってからでしたし、明確な目的を持っていったから、自分としては結構それなりに満足した留学/休学生活でした。けれども、高校生がこれを独力で決断するって、なかなか難しいでしょうし僕が高校生だったらやっぱり無理だなぁって思います。



・プリンストン大学に学ぶ?!

まるまる参考になるかはわかりませんが、ここであえて、海外の事例を紹介します。
アメリカのプリンストン大学は、入学前の学生に"Bridge Year Program"というものを提供しています。

Bridge Yearの説明文を読むと
Bridge Year is a structured nine-month program with a focus on community service and cultural immersion for Princeton students prior to the start of their freshman year.(拙訳:ブリッジイヤーは、プリンストン大学の学生が1年生をはじめる前に、コミュニティサービスや異文化に浸ることに主眼をおいて構築された9ヶ月のプログラムです。)

ということです。おぉ、まさに今回、東大がやろうとしていることとそっくりではありませんか!


そして、さらに
The volunteer placement. Bridge Year students are placed in volunteer assignments that serve local communities while enriching their understanding of the world. Bridge Year volunteers might teach in an elementary school or serve patients in a health clinic. Other placements might include promoting economic development or organizing environmental initiatives. Regardless of the assignment, participants work closely with the host community, collaborating earnestly and gaining a deep understanding of the lives and experiences of local people.(拙訳:ボランティア実習:ブリッジイヤーの学生は、世界への理解を豊富にすると同時に、ローカルコミュニティを助けるボランティアを割り当てられます。ブリッジイヤーのボランティアは小学校で教えたり、病院で患者へ奉仕したりすることになるでしょう。他には、経済発展を促進したり、環境イニシアチブを準備したりすることになるでしょう。割り当てられたものに関係なく、参加者はホストしてくれるコミュニティと、本気で協力し、地元の人々の生活や経験へのさらなる理解を深めながら、親密に働くことになります。)
であったり、さらにはこんなことまで。

The living experience. Bridge Year volunteers live with local families within the community where they serve, providing them the opportunity to establish meaningful relationships, develop and master language skills, and become a part of the local society.(拙訳:そこに住む経験:ブリッジイヤーのボランティアは自分たちがボランティアをするコミュニティ内の地元の家族と共に住み、意義深い関係を作り上げ、言語スキルを上達させ習得し、そして地元のコミュニティ社会の一員をなる機会を提供されます。)

Language training. Program participants receive intensive language training upon arrival on site. Conversational competence is stressed so that participants are able to apply learning to their service assignment early on and communicate effectively with others within the community.(拙訳:言語トレーニング:プログラム参加者は自分の場所についた瞬間から徹底的な言語トレーニングを受けます。参加者が早い段階で学んだことを仕事に活用することができるように、また、コミュニティ内で人々と効果的にコミュニケーションできるようになるため、会話能力は特に強調されます。)

Peer support. Students are placed in small groups at each program location, providing access to the support and comfort of peers throughout their year abroad.(拙訳:ピアサポート:それぞれのプログラムの場所で、小グループに学生はあてがわれ、支援へのアクセスや海外での1年を通した仲間の援助が提供されます。)

Destinations. Volunteers spend the duration of the Bridge Year in a country other than their own. Princeton currently sends Bridge Year participants to program sites in China, India, Peru and Senegal.(拙訳:行き先:自身の国以外の国でブリッジイヤーの期間をボランティアの学生は過ごすことになります。現在、プリンストンはブリッジイヤー参加学生を中国、インド、ペルー、そしてセネガルへと送っています。)

おぉ…セネガル…行ってみたい。しかし、中国、インドだなんて、旬ですね。

さて、気になるお値段ですよね。天下のプリンストン大学…でもお高いんでしょう…?

How much does it cost?(いくらかかるの?) The University is strongly committed to making the Bridge Year Program accessible to every incoming Princeton freshman, regardless of financial circumstances.(大学は、学生の経済状況に関わらず、プリンストンに入学する1年生全員にブリッジイヤープログラムへアクセスできるように強くコミットします。)
All core program costs for your Bridge Year will be paid for by the University. You will incur no tuition or living expenses during the entire nine months of the program. (ブリッジイヤーに関する全てのコアとなる費用は、大学によって支払われます。9ヶ月のプログラム期間中の学費、生活費は一切かかりません。)
Bridge Year participants and their families will typically be responsible for the cost of travel and other incidental expenses such as document fees, health insurance, immunizations and personal items. Need-based funding is available to cover such expenses, meaning that--depending on your family circumstances--your Bridge Year could cost you practically nothing.(ブリッジイヤーの参加者とその家族は通常、旅費や書類代であったり健康保険、予防摂取や個人の持ち物などに関する雑費は自身で責任をもっていただきます。あなたの家族の経済的事情に依りますが、それらの費用をカバーできる奨学金も必要な量だけ[ニードベースで]利用可能です。すなわち、あなたのブリッジイヤーの費用は、事実上、ゼロです。)

さすが、プリンストンですね。こういうところまで全て支払ってくれるようです。旅費は自腹のようですが9ヶ月の滞在費や食費までカバーされるというのはなんとも驚き。そして、中国やインドといった注目される国へ派遣し、現地の言語を学びコミュニティサービスをすることで、多くのことを学生は学べるでしょう。素晴らしいプログラムだと思います!

勿論、大学の資金力が違うので東大がこれをやるだなんて無理な話ですが、あえて、ここまでオーガナイズされたプログラムを提供し、少ない選択肢ながらも確実な学びが得られるプログラムを作り上げるということも、東大に是非考えてほしいところだなと思います!これからFLYプログラムのブランチとして、こういう風なものを提供することも、大学の一つの仕事なのでは?内部の学生として、とーっても気になるトピックですし、すこしでも自分が手伝えるのであれば手伝いたいくらい!

2012年11月8日木曜日

大統領選に興味ないあなたも思わず行きたくなる!Democracy Plazaにいってきた

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米国時間の11月6日は大統領選の投票日でした。偶然にもこの期間にアメリカにいて、それも中心ニューヨークということで、せっかくなので投票権はありませんが選挙戦を楽しんできました。
オバマ氏とロムニー氏のまれに見る接戦が予想されていたため、日本でも注目が高かったようです。そしてSNS時代なので、TwitterやFacebookでも白熱っぷりを伺うことができました。ニューヨークですれ違った黒人の男性が、選挙でどちらに投票するか、電話で本気で電話相手と激論しており、人々の選挙への意識の高さを垣間みることができましたし、軒並みfacebookでもアメリカ人の友人たちは大統領選について語り合っている現状。というか、選挙日は祝日なんです、アメリカでは!なのでマンハッタンはすごい人でした。

そんな中で、アメリカのテレビ局NBC NEWSがマンハッタンのロックフェラーセンターにデモクラシープラザ(DEMOCRACY PLAZA)を設営。選挙戦のテレビ速報と実況を行うブースやスタジオを作っていました。ということで、行ってきました。一部、公式の写真を使用。

5thアベニューをセントラルパークの方へ向かってとぼとぼ。光り輝く空間が!
デモクラシープラザの入り口。後ろにそびえたつロックフェラーセンター。


ゲートを入ると、協賛がWindowsということでWindows8の搭載PCが置いてあった台です。夜には撤去されてしまっていました…。ディスプレイも消灯、残念。。。

ちなみに、Windows8といえばSurface、これは触ると本当に欲しくなります。Microsoftの本気が感じられる一作です。価格としてはiPadには及びませんが、SurfaceはほぼPCと同様のパフォーマンスができるシロモノです。ガジェット好きにはたまらない一品。



ロックフェラーセンターは青と赤にライトアップされています。もちろん、青がオバマ氏、赤がロムニー氏です。大統領選は、大統領選挙人の票を270獲得すると当選確定なのですが、ロックフェラーセンターの壁面に獲得票数が表示されたリフトが設置してあり、州の票獲得が報道されると共に、このリフトがあがっていく仕様でした。


また、ロックフェラーセンターの目の前のスケートリンクには、アメリカの地図が描いてあり、どちらの候補者がどの州の票を獲得したかが一目瞭然となっています。これはとても面白い!票獲得が報道されると同時に、その州が色付けられます。(NHKで表示されていた地図と同じらしいですね!)(by NBC)


上からだとこんな感じに。(by NBC)


そしてこちらはテレビに釘付けの人々。州の票が発表されるたびにみんな声をあげて叫びます。悲鳴のような人まで。もう、完全にエンターテイメントですね。

そしてテレビに写っているのは、もちろん、ロックフェラーセンターからの中継です。この女性のうしろはスケートリンクですね!


NBC Newsのブースもあり、そこには長蛇の列なので入ってみると缶バッジや記念ステッカーを配布していました。どうやら人気番組らしい"POLITICS NATION"の缶バッジ。とりあえずいただいた。


そして、ロックフェラーセンターの地下には、ホワイトハウスを模したブースまで。記念撮影しようと、こちらも大行列でした。

ということで、大盛況のロックフェラーセンター、デモクラシープラザ!余りの寒さに途中で退散してしまいましたが、さらなる写真が公式facebookにも上がっているので、チェックです。次は4年後ですね!個人的にはアメリカ人のリアクションが最高でした!

余談ではありますが、最終的な投票配分がわかったようです。CNNの出口調査によると、このような結果に。すごいですね、ここまでくっきりと分かれてしまうとは…。白人は主にロムニー支持…。ここからはオバマ氏はどう束ねて行くか、が重要ですね。

2012年11月3日土曜日

被災したニューヨークを走り回って。

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世界経済の中心といっても過言ではない大都市が未曾有の大災害を被ったとき一体何が起こるのでしょうか。

そのような、机上のみで議論されていた事件が実際に起こってしまいました。

アメリカ第一の都市、ニューヨーク。史上最大規模のハリケーン・サンディが襲来しかなりのダメージを残していきました。

そして今僕は、そのニューヨークにいます。そして被災したこの街を目の当たりにしています。



ハリケーン・サンディは、前回のポストでは「それほどでもないかも」と言っていましたし、規模や風速そのものは確かに日本のそれほどではありませんでした。しかしながら、上陸する時間帯が満潮であることによる高潮の影響や、アメリカという国そのものの体質を無視していた意見であったことを強く恥じます。この国にとっては、あのハリケーンは大災害をもたらすものでした。

そもそもニューヨークには、水害に対する備えがほぼありません。いつか日本、特に東京がいかに水害に配慮されているかを書きたいなぁと思ってはおりますが(まさにこういった土木が僕の専門とするところなので。)、このニューヨークという都市の自然災害、特にハリケーン、に対する準備のなさが露呈した機会だということははっきりと言えるかと思います。

まずは今何が起きているか(あるいは、起きていたか)。僕自身がマンハッタンやその周辺のブルックリン、クイーンズで何が起きているかを僕が撮った写真と共にまとめます。

①停電


ローワーマンハッタン(マンハッタンの南部)はほとんどが停電でした。ニュージャージも一部も勿論そうですし、マンハッタンの東側にあるロングアイランドも停電しているようです。マンハッタンの場合は3日間ほどの間、停電しておりヒーターも充電もできないという状態です。以前ニューヨークでは1977年に大停電が起きましたが、まさにその状態と同じなのでは?と思ってしまいます。信号機もつかないので、交通混乱を引き起こします。夜は当然真っ暗。歩行者や自転車の人にも大変な悪影響を与えますし、実際運転しててとても怖かった…。(ちなみに、前回の大停電のときはベビーブームがやってきたそうですよ…笑 ただこれは都市伝説とも言われていますが。)
自転車にて現地調査をしているので、夕暮れ以降のローワーマンハッタンは暗黒。自動車のライトと自転車のライトのみが頼りです。道端ではここぞとばかりに懐中電灯を売る露店が立ち並び、商魂逞しいなぁなんて思ったり。真っ暗闇のマンハッタンを走れるだなんて予想外も予想外でした。



②交通機関のマヒ


浸水による地下鉄トンネルの被害で、地下鉄は未だに全て動いていません。特にマンハッタン内の地下鉄は北部のみしか動いておらず。ブルックリンやクイーンズなどからの地下鉄によるアクセスは現在のところ不可能です。バスとタクシーが唯一の公共交通機関で、バスはディズニーのアトラクションかと思わされるほどの行列が、タクシーは道端で人が手を挙げて呼び込んでいる状態です。あまりの緊急事態のため、1人乗りよりも複数の乗り合いを政府が推奨するほどです。トンネルは全て浸水し、勿論使用不可能です。トンネルの復旧は本当に大きな問題になるでしょう。
自動車の使用が増えて、停電によって信号機も止まっているので交通渋滞が半端ありません。ニューヨークに長年住んでいた方も、ここまで渋滞したのは見たことがない、とおっしゃっている状況でした。本当に現在は自転車が最強で、New York Timesもそのような記事を書いています(笑)




③ガソリン不足


また、公共交通機関はアテにならないということで、自転車の人気がにわかに高まり始め、自家用車はガソリン不足に悩まされています。多くの人々が自動車を使用し、ガソリン不足が深刻です。僕が宿泊しているホテルの周辺のガソリンスタンドも信じられないほどの行列でした。自動車の行列と、タンクを持った人々の行列です。みんなストレスが溜まっているのでしょう、ののしりあっていました…(汗)警察も出動してこの行列を整理していましたが、警察のおじさんも怒っていて、みんなやっぱりストレスフルなんだろうなぁと。



④浸水


停電など、全ての二次的被害を起こしている元凶はこれでしょう。高潮によって市街地に侵入した海水は、住宅を床上浸水し、電気回路をダメにし、地下通路を全て浸水させ…という、前でまとめた①〜③の現象を引き起こしました。高潮によってビーチの砂は運搬されて市街地に侵入するというケースも。同様に、浸水した沿岸部の地盤がゆるみ、その上の構造物に影響を与えるケースも見かけました。あたかも津波の被害を見ているようでした。ニュージャージーの方は家が流されてしまっていますから、ほぼ津波の被害と同じといっても過言ではないものでしょう。まさかニューヨークでこれを目にするとは思っていませんでした。



⑤強風


強風によって木が倒れたり、建物の一部が吹き飛ぶというケースです。マンハッタン内では少ないような印象を受けましたが、周辺の州やブルックリン、クイーンズでは相当の被害を受けたとのことでした。風速が、すごいですから。
しかしこうやって倒れた木も放置されています。なかなかこういったところの処理は追いついていないのが現実でしょう…。警察や消防は常にてんやわんやでしょうし…。

これらの被害を見ると、強風以外の全ての元凶は「高潮による浸水」であると言えます。ニューヨークはサンディのような大規模ハリケーンを想定していないので、当然ながら高い堤防などは存在しません。ゆえに、準備なし、のところにフル装備した敵がやってきたようなもので、今回のようなとんでもない量の浸水を許し、結果的に多くの二次被害を引き起こしているのでしょう。

一方で日本は正直なところこれらの防災対策がそれなりに十分できているものと思われます。さすが、自然災害大国。今日、サブウェイでサンドイッチを購入した際店員のお兄さんと会話をして、日本から来たことを告げたら「日本は自然災害多いんだよな。地震も台風も!」と言われました。まさに、その自然災害の多さという事実が、日本を強くしているなぁと思います。

しかし今回、真っ暗闇のマンハッタンやガレキの放置された道、交通機関の完全な麻痺を目の当たりにして、ここまで脆弱なのかと思いました。津波と異なり、ある程度の時間的猶予が与えられたハリケーン。それゆえに死傷者は100人を超えたものの思った以上に多いわけではないところはよかったなぁと思います(いや勿論死傷者が出ているのはよくないことです。あくまで、津波に比べてということ。)しかしながらインフラに対して、復旧に3日、それ以上かかったりと、起きうる被害を事前に予測して対策するということが十分に行われていなかったことが問題でしょう。

財政難のアメリカで、改めてインフラ投資に注目が集まるときが来るのでしょうか。それとも、災害が起きたらしょうがないということで、毎回自然の猛威を受け止めてダメージを受けて、毎回復興すればいいという考えなのでしょうか。これからの動向が気になります。


今回、僕が滞在しているブルックリンは、正直なところそこまで大きな被害は受けていません。ただ、二次的な、交通機関の麻痺、携帯電話が使えない、などを3、4日うけてしまったこと(そして現在も続いてはいますが)で、前回の震災で受けたものよりも、ちょっぴりだけストレスフルな被害を受けたなという印象です。浸水してしまった人や家が流されてしまった人に比べれば一笑に付す規模の影響ですし、こんなことを言ってしまうのは不謹慎かもしれません。ですが、ひとりのシビル・エンジニアの卵として、改めて都市空間におけるインフラの重要性を身をもって体験できたことは、今後の研究などにも活かせていけるのではないかと思っています。


今回は被害のまとめでしたが、次回は今回のサンディのケースから学んだいくつかの教訓、そして日本の水害対策について書こうと思っています。

2012年10月29日月曜日

ハリケーン・サンディ、襲来。

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現在、アメリカ東海岸にHurricane Sandy(ハリケーン・サンディ)が来ており、100年に1度の規模のハリケーンらしく、大被害をもたらすと報道されています。(ボジョレー・ヌーヴォー的表現だなぁと思ったり…)

既に通過したキューバなどでは死傷者も多く出ており、こちらでテレビを見ていると、どのチャンネルもずーっとサンディの報道をしています。避難時のTipsや停電に備えてこうせよ、といったこともニュースでやっていて、なんだか日本での震災のときを少し思い出させられています。

昨日10月28日(日)夜からニューヨーク市街地では地下鉄やバスは全て止まっています。ブルームバーグ市長(ちなみに、あのブルームバーグの創始者です)は29日(月)の学校の休校を宣言。市内にZone A,B,Cを設定し、避難命令を出しています。Zone Aに対しては強制避難命令が出ています。

「えー、今いるホテルZoneどこなんだろう?」と思っていたら、なんとも便利なものがありました。対応が早いニューヨーク市、すごい。
http://gis.nyc.gov/oem/he/search.htm

このURLにアクセスして住所を入力すれば、なんと自分のZoneがわかり、周辺のZoneも地図上で表示されます。Evacuation Center(避難所でしょう)も地図上に表示されているので万が一のときも安心、というわけですね。ちなみに僕はZone Bにおります汗

NY Timesのツイッターも最新情報を流してくれているので、こちらでキャッチアップしています。https://twitter.com/NYTMetro

ちなみにこのサンディ、中心気圧が970hpa前後ということで、日本の強い台風に比べれば結構弱い部類に入りますから、個人的には大丈夫なんじゃないかなぁと思っているのです。実際、ハリケーンのレベルとしてもカテゴリー1という弱い部類に入っています。ただ、北部の気団と合体してもっと強くなる可能性があるらしいです。
災害というのはナメてかかってはダメなので、昨日のうちに食料と飲料は確保しておきました。停電になるのが怖いです。結構ニュースだと停電の可能性について話しています。

ハリケーンといえば昨年はアイリーン、2004年にはカトリーナ、を思い出すのですが、やはりカトリーナに関しては(不謹慎かもしれませんが)興味深いと思います。
大被害を出してしまったニューオーリンズは、地形的にスープ皿のような低地であり、ミシシッピ川の河口ゆえの特殊な地形、堤防も決壊、指導部が無能、などなど様々な要因が絡まり、陸地の8割以上が水没、インフラの復旧にも相当の時間がかかるということになりました。このようなことから各自治体は本当に水害対策には力を入れている(と信じたい)のですが、なんだか今回の避難命令や報道を見ていると大げさすぎるのでは?と思ってしまいます。やはり日本人が災害慣れしているからでしょうか。緊急用の食料/飲料というのは常に準備しているだろう、と思ってしまったり。

ニュースを見ていて驚くのは"Mandatory Evacuation"がかなりの人々に出ているということです。"mandatory"ということで強制避難命令ということになるわけで、既にZone Aに位置する375,000人が避難しているそうです。それにかなりの州が非常事態宣言を出しています。買い物に行けばものすごい人手で皆食料や水を買い込んでいます。これを見て「これは相当まずいのでは?」と思い始めました。(画像はニュース画像)



もしかすると、行政はあぁいった「強制」避難命令だとか非常事態宣言を出すことで民衆を煽り、危機意識を高めているのかもしれません。いくら注意しすぎてもしすぎることはないですしね。日本とは違うなぁ、という印象。

ともかく、大きな被害が出ないことを祈るばかりです。

ニューヨークを自転車でかっとばせ

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研究活動でニューヨークに来ており、中古の自転車で街を走り回っています。(決して遊んでいるわけではないです。至って真面目。)写真は途中で見つけた素敵な住宅街。Brooklynの6thと7th Ave.の間あたり、Atlantic St.から南下したところだったはず…?世間は既にハロウィン模様。ただ、残念ながら月曜日からはハリケーンサンディ(Hurricane Sandy)が東海岸を直撃するということで、明日からはしばし室内にこもって作業、ということになるかもしれません。

中古で相当安価に済ませた自転車ですが、普段あまり乗らないためか、お尻が痛いのです…(笑)これからあと十数日ありますが、できるだけ多くの橋梁(この写真の後ろに見えるのはBrooklynとStaten Islandを結ぶVerrazano-Narrows Bridgeです。スパン長は1298mもあるため、当時は世界最長の吊り橋だったそうです。(ちなみに世界一は明石海峡大橋)

しばし更新が滞るかもしれませんが、また面白いものを見つけたら更新しようと思います。



2012年10月26日金曜日

Jiro Dreams of Sushiを観た

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Photo By CytecK

働く人間にとって最も大事なものとは何なのでしょうか。

その答えを少しだけ教えてくれた気がするドキュメンタリー、"Jiro dreams of Sushi"をやっと観ることができました。

"Jiro"といっても、一部の熱狂的ファンを生み出しているラーメン二郎のことではなく、銀座の数寄屋橋にある「次郎」という寿司屋のことです。タイトルが英語であることからわかるように、これは日本のドキュメンタリーではなく海外向けのドキュメンタリーです。

6月あたりに知り合いの方に薦められて、長い間観てみたいと思っていたので、このタイミングで観られてよかったです。


「次郎」はミシュランで常に三ツ星を獲得し、三ツ星レストランのシェフの中でも最高齢85歳の小野次郎さんが寿司を握る高級店です。(現在はお子さんが主に握っていらっしゃるようです。)どれくらい高級かというとお一人様3万円からとのこと。仕入れによって勿論値段は変化します。黙々と、カウンターに出される寿司を食べ続け、早い人だと15分ほどで終わるようです。つまり15分で3万円以上支払うレベルの高級店です。お酒を飲みながらつまみを食べて、シメに寿司を食べるというところではなく、寿司だけをこだわりを持って提供してくださる寿司屋なのです。予約も1ヶ月前から。この価格なのに人気店。海外からのお客さんも多い。食べる人皆納得する、すごいお店です。
(ちなみに写真は「次郎」の寿司ではないです…すみません。)

「どのお寿司もシンプル。」「シンプルを極めていくとピュアになる。」
そう、フードライターの方は「次郎」の寿司を表していました。

次郎さんの寿司への哲学、仕事への哲学、生き様をはじめ、お店の後継者育成(息子さん二人やその他の弟子の方々)、寿司に使う食材へのこだわり…これらのことがドキュメンタリーの中で語られるのですが、ここまでのこだわりを持っているのか!と驚かされてばかりでした。そして何より、85歳で世界の寿司職人の頂点に立っているといっても過言ではない次郎さんが「頂点なんて存在しない、どうしたらもっとおいしい寿司を作ることができるか」ということにこだわりを持って常に向上心を持っていらっしゃることが大変素晴らしかった。

どこまで内容に言及していいか迷うところなのですが、とても印象に残ったところが3点あります。

・修行
「次郎」の店で修行をすると、まずはお客様に提供するおしぼりを手で絞る作業(やけどをするほど熱いそうです)、そしてしばらくは魚にも触らせてもらえず、やっと卵焼きを作ることを許されるそうです。弟子の方は200以上の卵焼きを焼いて、やっとOKが出た、と。そこで初めて次郎さんに「職人」と呼ばれたそうです。10年でやっと。地道な努力、だそう。

・食材の最高の目利きと最高の寿司職人のコラボレーション
マグロのプロ、お米のプロ…彼らとの絶対的な信頼関係の下、寿司を作るプロの次郎の職人さんたちがその最高の食材を最高の寿司へと作り上げる。僕たちが食べる寿司は、寿司職人の方しか意識にないかもしれませんが見えないところで本物のプロたちが関わっているという事実を改めて知ることとなりました。

・ホスピタリティ(といって良いのかわかりませんが…)
お客様が女性か男性かで寿司のサイズを変更し、最初に食べた利き手を見てその後寿司を置く場所を変える、など、こちらが気づかないような気遣いが印象的でした。いやーこれはちょっと驚きました。


なんだか、このドキュメンタリーを観て、プロとしての仕事の流儀だとか心がけだとか、寿司職人に限らず多くのことに当てはまることを学んだ気がしました。
冒頭の質問、「働く人間にとって最も大事なものとは何なのでしょうか。」という問に対する答え、次郎さんは「仕事を好きになること」だそうです。あの年齢でもまだまだ良い寿司が作れると、もっと上を目指さなくては鳴らない、という飽くなき向上心は若い僕も見習わなくてはならないと思わされました。常に明日のことを考えている、ここで終わるってことはない。もっとおいしくならないか、もっと上手にならないか24時間ずーっと考えているのです。そんな完璧主義者。がんばろう。。。こういった向上心という部分も、最初の質問の答えでしょう。

さらに思ったこと。マジックという芸術(まだ、僕は芸術に昇華できていませんが…)を少しかじっている人間として、学ぶことも多かった。常に、24時間、そのことを考えなくてはよいものは作れないだとか、見えない部分の努力(寿司で言えば海苔をあぶったり、シャリの微妙な温度、全ての食材へのこだわり)を怠ればそれはプロではない、表に出さないお客様への気遣い、などなど…。そして彼は寿司という作品を提供するのですが、マジックであればそれがトリックであるわけです。お客様にどのような体験をしてほしいか、と常に考えていれば、取るべきアクションの答えは自ずと出てくるのだなぁと強く感じました。勿論、それを実行にうつすことが難しいのですが。本当に難しいとは思います。彼の場合はそれが「おいしいと感じて満足してほしい」ということになるのでしょう。そのゴールに達するまでがここまでの食材へのこだわりや技術なのだと思います。とにかく、自分にも他人にも厳しい。一切妥協をしない。その生き様に痺れました。かっこよすぎる。85歳でこれって。

あと、特に一視聴者として思ったのは、映像がとても素晴らしかった。寿司という食べ物を撮っている敬意があるのでしょう、とても美しく、ある種の芸術作品のように提供される寿司が撮られていました。映像の最後も、次郎さんの素敵な笑顔で締められています。それまで厳しそうな表情ばかり見せていた次郎さんのそのような笑顔は、こちらも幸せな気持ちになるようなもので素敵な映像と相まって「良いものを見た!」と心から思える作品でした。

実は今日からしばらくの間ニューヨークに滞在です。研究活動なのでなかなか観光もできませんし、更新できないかもしれませんが、ニューヨークの素敵な街をちょっとでも紹介できたらと思います。


2012年10月22日月曜日

留学中に書いた記事をまとめてみた

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米国大使館の後援で、「留学中の先輩の声」という留学生ブログのオフィシャルライターのようなものを留学中はやっていました。そのためにいくつか記事を書いていたのですが、幸いなことに結構な数のlikeやshare数を頂いたものもあります。外部のブログなので、リンクを貼るにとどめておきますが、(記事が消えることはしばらくないと思うので…)ちょっとしたコメントと共にもう一度紹介したいと思います。アクセスしやすいように、ということで!

・留学の目的などについて書いた『Illinois、読めますか?』
⇒一番最初のポストだったのでとてもさぐりさぐりではありますが、留学に際して意気込みとか目的とか、書いています。今も強く思うことですが、留学の当初の目的を忘れないことが、留学ではやっぱり大事なのかなぁなんて思います。なんだか偉そうですが…。

・学校が大規模でびっくりしたので『アメリカの大学設備がすごすぎる』
⇒図書館が24時間営業なのはたまげました!いやはや、ジムもすごいのです。


・相当反響がありました。留学にはいくらかかるか。留学のお財布事情?!おすすめ!!
⇒やっぱり留学するときに気になるのがお金です。1年の交換留学の人って、どれくらいお金がかかるのかということを紹介しています。あとは、東大は今留学を奨励しているので、留学支援としての奨学金が結構でるのです。それと、留学先のイリノイ大学の卒業後のお給料についても面白いものを見つけたので紹介しています。

・めっちゃ力いれて書いたんですけどあんまりウケなかった英語についてのポスト(笑)英語への不安を吹っ飛ばすために必要なこと
⇒高校生のときはてんで英語がダメで、大学に入ってから結構必死に勉強して、それなりのレベルまで持っていくことができました。最初は不安で不安でしょうがなかったのですが、なんとかなるくらいには、心の持ちようとちょっとした努力でなんとかなるのかなぁなんて。日米学生会議についても触れています。

・動画メッセージその1

・タイトルまんまですアメリカで入院をしてみて思ったこと
⇒人生はじめての救急車と入院をアメリカで経験してしまいまして…。死ぬかと思った。


・アメリカの大学生活を表したあの図。American College Life
⇒プリンストン大学に通う友人から教えてもらった、アメリカの大学生の生活を表す図の紹介です。後日談なのですが、このバリエーションとして、「我々はこの3つ全てを君たちに授けよう」というメッセージをプリンストン大学で彼は見かけたようです笑


・これもかなり反響を頂いたアメリカの学生は本当によく勉強するのか
⇒アメリカの大学って宿題とか多いしよく勉強するって言われるけど本当のとこどうなの?という記事です。良い成績を取るためにうるさい寮を離れてホテルの部屋を取ってまでやる学生がいるという衝撃の事実。試験期間はホテルにとってはビジネスチャンスのようなのです(汗)信じられん…


・最後の最後のまとめです。留学を終えて。高校生と過ごした熱い夏。
⇒H-LABという高校生向けサマースクールについて、それと、留学に関するの本当の気持ちを書いています。グローバル人材だの内向きだのと言われて闇雲に叫ばれる留学ですが、全員にオススメするわけでもないです。大変だったこととか、感じたことを本音で書いてみました。

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留学してたひとりのケースとして参考になればと思います!

2012年10月20日土曜日

今年のノーベル経済学賞をちょっとだけわかった気になる3ポイント

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photo by pennstatelive

決して経済学が専門でもないですし、経済学を真面目に勉強なさってる方にとっては相当ひどいまとめ内容かもしれませんが、政策研究大学院大学の安田洋祐先生のご講演を聞く機会があり、今回のノーベル経済学賞を受賞した米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のロイド・シャプレー氏(Lloyd Shapley)と米ハーバード大学のアルビン・ロス氏(Alvin Roth)の研究テーマである「マッチング理論」について、学ぶことができました。このマッチング理論は、様々な分野に応用されているようで、中でも医師の臨床研修における受入側の病院と医師のマッチングに関しては日本でも応用されているようです。あとは、周波数オークションであったり、学校選択制、Googleのadwordsなど、かなりの実践例があるそうです。

ニュースサイトなどで、男女のマッチングについて研究した、という情報だけが一人歩きしていてどうにもこうにも具体的には知ることがなかったのですが、今回のご講演で、ちょっとだけわかった気がしました。

AFP通信のニュースによれば

■最も良い結婚相手を決めるには
まず第1ラウンドで、男性全員が自分が最も妻にしたいと思う女性にプロポーズする。複数の男性からプロポーズを受けた女性は、そのうち1人の男性のプロポーズを受け入れる。1人の男性からだけプロポーズされた女性もそのプロポーズを受け入れる。誰からもプロポーズされなかった女性は次のラウンドを待つ。

次に第1希望の女性にプロポーズを断られた男性たちが第2ラウンドへ進み、第2希望の女性にプロポーズする。第1ラウンドですでに他の男性のプロポーズを受け入れている女性も、独身として第2希望の女性に含めることができる。

こうして男性たちの希望リストが最後の女性に至るまで、この手順を繰り返す。途中、女性のほうは前のラウンドでプロポーズを受け入れていても、次のラウンドでプロポーズしてきた男性のほうが自分にとって好ましければ、前の婚約を解消できる。最終的に全員がパートナーを獲得する。


ということだそうです。このメカニズムのことをGale-Shapleyメカニズムというそうです。ノーベル賞を受賞したShapley氏の名前ですね。そしてこの最後の状態を、安定マッチング、というそうです。つまり、Gale-Shapleyメカニズムを使えば、安定マッチングを見つけられる、ということ。

………よーくわかんないですね(笑)

ということで、この男女ペア、というものを、研修医と、研修医を受け入れる病院に置き換えてみましょう。研修医が何人かいて、それぞれが希望研修病院のリストを持っていて、受入側の病院も希望研修医順位を持っている、という状況を想像してください。なんと、医師臨床研修のマッチング協議会がウェブサイトにてGale-Shapley(GS)メカニズムにて、どのようにマッチングが行われるをわかりやすーいFlashアニメーションで紹介しています!ぽちぽちやっていれば、あなたもマッチング理論のメカニズムがわかる!ということで、こちら。(リンク先Flash注意)

聞いたレクチャーをとーっても乱暴にまとめると

1:「マッチング理論」は様々な好みを持つみんながハッピーになるための理論

2:「安定マッチング」とは絶対に他のペアに邪魔されない、みんながみんな最適なパートナーとくっつける状態

3:どんなマッチング問題でも常に1つはこの「安定マッチング」が存在し、これを見つけるのに使われるのがGale-Shapleyメカニズム

ということでしょうか。

うむ、勉強になりました。

2012年10月19日金曜日

東京駅だけじゃない!テーブルサイズのプロジェクションマッピングがすごい。

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9月に開かれた、東京駅のリニューアル記念で、一躍プロジェクションマッピングは有名になりました。プロジェクションマッピングは映像を立体構造物に投影する技術のことで、必ずしも平面のスクリーンとは限らない、というところが面白いところ。そして、人々の興味を刺激するところでしょう。

そんなプロジェクションマッピング、東京駅やディズニーなどのイメージが強いのか、結構「大きなもの」に投影する先入観があります。

そんな中で、アメリカの素敵なマジシャン、マルコ・テンペスト氏(Marco Tempest)が素敵なプロジェクションマッピングの作品を「小さなスケールで」作り上げました。彼はNHKなどでも特番が組まれたことがあるため、知っている人もいらっしゃるかもしれませんし、TEDでも「バーチャルマジック」という彼らしいパフォーマンスをしているから、見たことある、という人もいるかもしれませんね。


彼による、ニコラ・テスラ(Nikola Tesla)という科学者に関する、パフォーマンス。巨大構造物やスクリーンだけでなく、こういった風にテーブル上のサイズでもプロジェクションマッピングができるのです。すごいです。お楽しみあれ。



同様の内容がTEDでも披露されています。作品そのものを楽しむであれば上記の映像の方がよいと思いますが、字幕が必要な方はTED版をどうぞ。



また、メイキング映像があります。こちらも、必見です。

このプロジェクションマッピング、他とちょっと違う部分があるのです。それは、「動くものに投影している」という部分です。作品中、マルコさんがマスクをつけて、そこに投影するシーンがあります。もちろんですが、マルコさんが動かないというのは不可能なので、マスクの動きを追跡(トラッキング)しなくてはならないわけです。そのため、赤外線LEDを使ったフェイス・トラッキングを用いて、マスクの移動を追跡し、そこに投影するというかなりチャレンジングな方法を取っているようです。これ、リアルタイムで追跡できているところが、エンジニアとしてはびっくりします。どんな制御でやっているのか…。気になりますね!




なんにせよ、マルコ・テンペスト氏のパフォーマンスは、相変わらずすごいですね。結構こういったテクノロジーを用いた作品が多い彼ですが、こういった作品をつくろう、という感覚とそれを実現する力は世界中探しても彼くらいしかいないのではないでしょうか。アーティストとしてのセンス、エンジニアとしてのセンス、そしてエンターテイナーとしてのセンス、すべてがうまく融合し、「面白いもの」を作り上げている、素敵な方ですよね。大好きです。



プロジェクションマッピングに関連していうと、以前六本木ヒルズで行われたTED World Wide Talent Searchに参加した際に楽しませていただいた、Shiro-Aというグループのパフォーマンスも素晴らしかった。プロジェクションマッピングとテクノ音楽を合わせたパフォーマンスです。こちらのYouTubeに映像が。お楽しみください。いや、本当にこれ、すごかったんですよ。ライブで見てほしいなぁ。昨日のポストにも書きましたが、やっぱりこういったものは生に限ります。




そしてまた、東京駅のプロジェクションマッピングを見ることができるようです!
12月21日から28日の期間、「東京ミチテラス2012」が開催されます。
「ヒカリエ」や「ソラマチ」にあやかたようなネーミングで、(僕は好きですが!)楽しみですね。期間がどうにもカップルだらけな予感がしますが、東京駅舎のプロジェクションマッピングは間違いなくすごいものになると予想しています。リニューアルイベントの作品も相当よかったので。今から楽しみです。



東京ミチテラス開催決定http://b.hatena.ne.jp/articles/201209/10718


東京ミチテラス2012は、2011年までの6年間にわたって行われてきた「光都東京・LIGHTOPIA」に替わるイベントです。「歴史、未来、希望」を基本テーマに、光を使った企画を展開します。 
東京駅前広場では、プロジェクターを使って建物などに映像を映し出す「プロジェクションマッピング」を用い、10月1日(月)に復原が完了する東京駅の駅舎をスクリーンに見立てたライティングショーを行います。 
東京駅前と皇居をつなぐ行幸通りには、花や水をモチーフとしたテッセレーション(モザイク模様)型の走馬灯が設置されます。走馬灯は夜になると内側から照らされ、模様が色とりどりの影となって空間全体に広がる様子を楽しめます。




2012年10月18日木曜日

小林賢太郎演劇作品『ロールシャッハ』を初日に見てきた

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Rorschach
By Adam Crowe

敬愛するアーティスト、小林賢太郎氏の脚本・出演を手がける『ロールシャッハ』を下北沢の本多劇場にて観てきました。

「ロールシャッハ」とは「ロールシャッハテスト」という心理学の性格分析のテストのことらしく、上の図形のような、インクを垂らして描いたような図形を見てどのように見えるか、ということで判断することができるらしいのです。

なんでこのタイトルなのか?とか、そういうことに言及するとネタバレになってしまいますから、それは触らないでおきますが、とにかくとにかく、「良いものを観たなぁ」という感想です。

小林賢太郎氏と言えば、張りまくった「伏線」やストンと落ちる「騙し」の部分の印象がとても強いですが、勿論彼の脚本なのでそういった部分はたくさんありました。でも何よりも私がよかったと思うのは、久ヶ沢さんはじめとする他の3名の役者の方たちが、うまく彼らの味を出しながら、同時に小林賢太郎色も出していたという部分をひしひしと感じたところです。久ヶ沢アニキ、好きです。

あとは、小林賢太郎氏らしい、ちりばめた笑い。ドッカーンという爆発的な笑いを引き起こすよりも、細かな笑いをちょいちょい挟んで行く、そして時にはそれを応酬する。ファンであることを差し引いても、あぁいったコメディ感というのは、やはりお笑い芸人として活動していた人にしか書けない部分なんじゃないかなぁと予想してしまいます。いやはや、すごい。

そして、何よりも大事なのがライブ感。
他のKKP(小林賢太郎演劇作品)はDVDでしか視聴したことがなく、生で観たのはこれがはじめてでした。当たり前ではありますが、俳優の皆さんの声は、地声です。マイクで拡声されることなんてありません。この本当の声を聞くために、観客全体が静まって舞台を観て、笑って、拍手して。その笑いがおさまるのを舞台上の役者は待って、間をとって演技し続ける。こういう、暗黙での舞台上と観客とのコミュニケーション、そして観客同士の一体感が僕は大好きで、これこそライブの醍醐味なんだって思います。YouTubeやDVDだけでは、見たとは言えない、そう思うのです。

小林賢太郎氏本人もこう言っています。

舞台は "ナマモノ" です。 出演者のがんばりはもちろんですが、 客席のみなさまのご協力があって、ひとつの舞台ができあがります。 一期一会のライブ空間、存分にお楽しみください!

まさにその通りなのではないでしょうか。彼のこのメッセージは舞台上のアーティストとしてのメッセージなのかもしれませんが、彼自身色々なところに足を運んで生で色々なものを観ているといいます。ライブを愛する人の作品は、やっぱりライブで観なければと思うのです。


実は今回の作品は幸運にも2回観ることができるので、次回の横浜公演が楽しみで仕方ありません。KAATホールという素敵な会場で、演技にも余裕が出てきたときにどう作品が料理されているのか?というところが気になります。そして何よりも、これはストーリーの性質上、2回観るのにふさわしい作品です。ラッキー。待ってろよ、横浜!


2012年10月17日水曜日

ひとつずつ積み重ねること

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diary writing
By freddie boy

人間誰しも小さな悩みや願望はあるだろうけれども、そういったことを克服するために、何か習慣づけようと思うことがありますよね。

例えば、太ってしまったからダイエットしよう、じゃあ毎日ランニングしよう、なんていうのは多くの人が一度は考えたことがあることかもしれません。じゃあランニングを毎日することができるでしょうか。そんな簡単にできれば、ダイエットには困らないでしょう。実際は、仕事だとか寝不足だとか、いろんな理由をつけて、毎日走ることは難しい。僕も、全然走れてない。うん、絶対太ったんです、最近。

日記だって同様です。日記を毎日つけることって本当に難しい。僕も10月からつけはじめましたが、やっと2週間くらいたって、日記を書くことを日々のルーティンワークに紐付けることができるようになってきた気がします。日常生活で歯磨きをしたりお風呂に入ったりするのと同じように、当たり前の習慣に落とし込むことって、やっぱり日がかかることなのだなぁと改めて実感しています。

3日坊主という言葉があって、よく悪い意味で使われることが多いですが、常々僕が思うのは「3日坊主って別に悪くないじゃん」ということです。まず3日でも続けたという事実は結構すごいことだし、3日坊主も3回つづければ、それぞれの「3日坊主」の間に1日のブランクがあっても、なんだかんだ11日は続けたことにしちゃっていいんじゃない、って思うのです。3日坊主も、それなりに続ければ、それなりの習慣になります。(と信じています。)

ということで、そんな自己弁護をしながら、僕は日記をつけつつ、そしてそろそろブログも書こうかなと思うのです。思考の垂れ流し、というわけではなく、面白いなと思ったこととか、紹介しようと思います。

何個もの習慣を一度に身につけるなんていうのは絶対無理だと思うのですが、ひとつずつ、日記をつけるようになる、次は運動する、毎日○○する…というように、ゲーム感覚で1個ずつクリアしていくことが重要なのかな、と。少なくとも受験勉強においては、僕は完全にそういう感覚でした。日々の勉強タスクをこなすゲームをやっているんだ、という感覚。

2012年7月23日月曜日

帰国してから

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かなりのご無沙汰となってしまいましたが、5月中旬に帰国し、既に2ヶ月。

大学での研究のプレゼンを英語でやったときに、早速英語力の低下を思い知りました(笑)趣味の関係上、英語を読んだり問題を解いたり、色々な理由から英語での日常会話ということはいつもやっていることなのですが、アカデミックな内容を英語で話すことが圧倒的に苦手になっていたことに驚きました。論文を読む部数もアメリカ滞在時よりは確実に減りましたし、毎週のプレゼンがあった当時に比べれば、明らかにアカデミックな英語を使う機会が低下してしまいました。

といっても、小さなペーパーは書いていたため6月末までは実はアメリカの研究室とやりとりをしていました。ということで書き終えたので、本当の意味で先日僕の留学が終わったなと思います。

今は、この経験がフレッシュなうちに文章にまとめたいなーと思っていながら、紙には向かわずに実際の人と向きあって、ちびちびと高校生や友人、先輩方と会う生活をしています。ハーバードの友人とやっているサマースクールの関係で高校生と出会うことも多いから、というのもありますし。

伝えること、そしてフィードバックをもらうこと。後輩には伝え、学び、先輩方には厳しく指導していただいて、自分の血と肉としていくということの難しさを感じています。
幸運にも、自分の周りには素晴らしい先輩後輩がいて、後輩からは常にお尻を蹴られて、同世代の友人たちとは切磋琢磨し、先輩には常に頭を叩かれ、いつも良い刺激を受けられる環境に自分はいると思います。しかしじゃあそこから何を学んで、どう活かすかというのは自分次第で、そこが本当に難しいなぁなんて。まぁ、小さなことからこつこつと活かしていこうと思います。

そろそろ米国大使館ブログの方に、新しい記事が1ヶ月以内にはアップされる予定です。最後の記事になると思います。ラストスパート、です。

2012年3月23日金曜日

死ぬかと思った

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ブログを3ヶ月も放置していしまいました。その間は、米国大使館ブログを主に更新していましたが、そちらも大したことは書いていないですね…

留学生活も残り1ヶ月半ほどとなりました。ここまで留学して何が見えてきたのか、ということは、少しくらいは自分の心の中にありますが、それは留学が終わったころにまとめたいと思います。他の人とはまた違った留学生活(交換留学生で学部生だけれども、大学院生の講義を取っていたり、研究室に所属して研究させてもらったり…)を学問的な意味で送っているため、友人も大学院生が多く、自分自身そこまでパーティなどが好きではないため、典型的なパーティ三昧、アメリカさいこー!的な「華の留学生活」ではなかった、ということは、この時点で書いておきたいと思います(笑)

話は変わりますが
アメリカで入院してしまいました!!!
いやはや、今まで20年ちょい生きてきて、日本ですら入院したことなかったし、ましてや、救急車なんだて乗ったことありませんでしたよ!人生初の救急車&入院がin Americaって、すごい経験をしてしまいました。そしてなぜか、所謂集中治療室に1週間ぶちこまれましたんですね。大げさすぎだろとか思ってたんですけど、それはただ単に自分の記憶が時空の彼方へ飛んでただけで、結構ヤバい状態だったようです。まぁ、死に至る病ではなかったんですけど。

アメリカの医療といえば、医療費/保険問題。オバマ大統領も、保険を改革しようとしています。今回は、幸い留学保険に加入していたため、(手続き中ですが)医療費などがカバーされるので、本当に助かりました。保険は本当に入っておきましょう。非常にお世話になっているので、宣伝しておきます。AIUの海外医療保険は電話も日本語対応してくれますし、かなり親切な対応で感動しました。会社の方で病院とも連絡を取ってくれて、こちらはほとんど何もしなくてOKで、非常にオススメです笑

で、気になる総額ですが、実は思ったより高くなかったですね。あくまで、「思ったより」です笑 100万円くらいかかるのかなとか思ってたんですが、その半分もありませんでした。

では、もし保険に入っていなかったらどうなったか?
全額負担しなくてはならない、と思う人が多いかもしれませんが、自分が入院した病院には、” Financial Assistance”があり、保険に入っていない人用に提供される基金がある、ということでした。保険に入っておらず、さらに貧困層の人は無料になるものや、保険に入っていないという事実だけで医療費20%オフ、症状が重かった人は25%以上オフなどなど…
友人に聞いたところ、他の病院でもこのような基金を持っている病院は多いということで、保険が問題視されている中でも、さすがキリスト教の国、こういった互助精神に基づいたものを持っているのですね。ここはすごいなぁ、と素直に感動しました。

ということで、医療に関するポストでした。