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2011年4月14日木曜日

Social Entrepreneur in USA

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先日また大きな地震がありましたね。夜遅くということで、火災などはそこまで起きなかったようで何よりです。被災地で避難生活を送っている方は勿論、ボランティアしている方はその身の安全を確実に守れるよう…。僕も、今月中にはどこかしらでボランティアしたいと思っていますが、東京で自分が必要とされている以上、そちらを簡単に放り投げて被災地に行くことはまだ自分にはできないため日程をよく鑑みて、行うつもりです。

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去年の夏、アメリカに行った際にいわゆる「社会起業家」を訪問してきました。
かなり流行している言葉で、ミーハー感丸出しではありますが、1年以上前から計画していたことや、大学の講義でも扱われていたことから、自分の中ではかなり楽しみにしていた訪問でした。

様々な団体や人にお会いしましたが、中でも一番印象に残っているのは、Washington D.C.にて活動する、D.C. Central Kitchen(http://www.dccentralkitchen.org/)でした。

社会起業の分野では、比較的有名なようで、あの勝間和代さんも訪問していることがGoogle検索によりわかりましたし、NHKでも特集したことがあったようです笑 そんなことは全く知らなかったのですが、とにかくD.C. Central KitchenのオーナーのRobert Egger氏のお話しや従業員の方から色々と聞くことができました。

D.C. Central Kitchenはホームレス支援の団体です。ただ、名前からわかるとおり、セントラルキッチンであり、ホームレスの人々は就業訓練をしながら、ホームレスへの食料を配給するスープキッチンで働き、同時に政府機関や学校などに食事を販売しています。

つまり、ぱっと見たところ、利用者側からすれば食事のケータリング業者ですが、中身は就業訓練を行う団体なのです。

元々は、ホームレスへの食事を配給するスープキッチンだったのだそうです。ですが、オーナーのRobertさんは、それだけではホームレス問題の根本からの解決にはならない、と感じ、就業訓練をすることによって社会復帰を促すということをはじめたそうです。

詳しい問題解決メカニズムや、団体の仕組みなどは、こちらのウェブサイト(http://www.npokama.org/syurou/sankou/usa2.htm)にかなり詳しく日本語で掲載されていましたので紹介させていただきます。

驚くべきなのは、年間の収入でした。日本円にして約3億円ほどの寄付金や援助金を得ていて、事業収入も3億円あるとのことでした。
もともと、食材は「食べられるけど市場には出すことができない」ものや余った食材(レフトオーバー)を使用しているので、あまり原材料費がかからず、収入が大きくなっているそう。この収入で、他のホームレス支援事業に協力したり、アメリカ各地に拡大をしたりしているそうです。

この団体の日本での実現可能性や技術移転に関して、先の冬学期の大学のレポートで書いたところ、比較的よく書けていたということで、今度Webに載せていただけるようです。やった!
正直なところ、日本の社会状況と、米国での状況があまりに違いすぎるので、実際に日本で同じモデルを展開することは難しいのは明らかですし、日本ではホームレスに対する政府によるサポートが比較的手厚いということも事実です。日本の場合は、溢れるネットカフェ難民などの対処が貧困問題として扱われるのでしょう。こちらは、政府も把握しきれていないのではないでしょうか。(このあたりは、湯浅誠さんの本などに詳しく書いてあったような気がします…)


この団体をはじめとする貧困支援に関して、(途上国支援も含む)成功事例には普遍的な法則が見いだせます。

Robertさんが、スープキッチンでただ単に食事を与えているだけではダメだ!と気づいたのは、いわゆる「魚釣りの比喩」です。食べ物に困っている人に、魚を与えるか、それとも釣竿と釣り方を教えるべきか、ということ。いくらホームレスの人々に食事を与え続けても自立はできない。だから、社会復帰のために、食事の作り方や働き方を教え、今後自活できるように手助けしていく。

この魚釣りの比喩は、かなり普遍的な成功法則といってよいのではないでしょうか。

聞いてみると、当たり前ですよね。ですが、このような当然のことが、開発や援助の業界ではつい十数年前までできていなかったようなのです。

その証拠に、90年代のネパールに小学校を設立しよう、というブームは失敗に終わっています。

バブル時代のアホな日本人が、お金にものを言わせて、自己満足のためにネパールに小学校を作ったそうです。ですが、地元の政治家や地元の人にお金は横流しにされ、学校が設立できなかったり、学校ができても先生が足りなくて結局廃校に…ということばかりだったそうです。

これも、ハコモノだけ作って運営や能力開発をしない、という典型的失敗パターンでしょう。

(途上国開発業界では、援助される側の人々を自立可能なように育てる、ということをキャパシティディベロップメントといいます。Capacity Developmentです。)

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そういえば、お前工学部なのに何やってんだ、というお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、実はこのような分野を扱うのが私の所属しているCivil Engineeringの学科であり、エンジニアにもこのような「文系」的な知識が当然必要だと考えています。

分野横断型の学問は時に理解が浅くなってしまいます。ですが、ひとつでも専門を持って、他の知識を浅く、広く持ち合わせることが、現代社会に必要なアカデミックスキルである、と強く信じています。これは、いわゆるT字型人間とかΠ字型人間とかいうやつですよね。


残された留学までの時間、もう少し専門性を突き詰めていきたいと思っています。

2 件のコメント:

  1. こんにちは、突然失礼致します。
    私も大学でD.C. Central Kitchenについて調べており、
    再来週実際にボランティア活動をしにいく予定です。
    そこで事前に少しリサーチをした際に、このブログにたどり着きました。
    私はただのボランティア活動として行くので、スタッフの方にお話を聞ける機会がないかもしれません。そこでShutaさんが書かれた論文をフィールドワークの前に是非読んでみたいのですが、可能でしょうか。

    突然なお願いですが、是非考えて頂きたいです。
    よろしくお願い致します。

    Rui

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  2. >Ruiさん
    既に2年以上前のレポートで、僕が訪問したのは2010年夏、それと内容の稚拙さに目をつぶってくださるのであれば、喜んで(笑)
    どう連絡をとりましょうか。mail, facebook etc...

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